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「蓄電所とは:未来のエネルギーを支える巨大インフラの正体とビジネスの最前線」

2025/07/25

「蓄電所とは:未来のエネルギーを支える巨大インフラの正体とビジネスの最前線」

「蓄電所とは:未来のエネルギーを支える巨大インフラの正体とビジネスの最前線」

「蓄電所とは:未来のエネルギーを支える巨大インフラの正体とビジネスの最前線」
「蓄電所」という言葉を耳にする機会が増えてきました。再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及に不可欠な存在として注目されていますが、その実態は「巨大なバッテリー」というイメージ以上に、複雑で大きな可能性を秘めています。
多くの解説記事が「蓄電所は再エネの変動を吸収する調整役」といった一般的な機能紹介に留まる中、本記事では一歩踏み込み、「蓄電所がどのようにビジネスとして成り立っているのか」「一つの巨大プロジェクトがどのように生まれ、稼働に至るのか」という事業開発のリアルな視点を加えることで、その本質に迫ろうと思います。
この記事を読めば、蓄電所が単なる設備ではなく、未来の電力システムを支える重要な社会インフラであり、そこに多くのビジネスチャンスが眠っていることが、具体的にご理解いただけるはずです。

第1章:そもそも蓄電所とは?

まずは基本から確認しましょう。蓄電所とは、電力会社の送電網(系統)に直接接続され、電気を大規模に貯めたり、放出したりできる施設のことです。「系統用蓄電所」とも呼ばれます。

家庭用蓄電池やEVとの違い

家庭用蓄電池や電気自動車(EV)も電気を貯める点では同じですが、目的と規模が全く異なります。

●家庭用蓄電池: 自宅の太陽光発電で余った電気を貯め、夜間や停電時に使うのが主目的。規模は数kWh〜十数kWh程度。

●EV: 車を動かすためのバッテリー。V2H(Vehicle to Home)を使えば家庭用電源にもなるが、主目的は移動。

●蓄電所: 電力システム全体の安定化が目的。発電所と同等に扱われ、その規模は数万kWh〜数十万kWhと桁違いに大きい。いわば、電力系統における「巨大な調整池」のような存在です。

なぜ今、蓄電所が必要なのか?

最大の理由は、太陽光や風力といった再エネの導入が急拡大しているからです。これらの電源は天候次第で発電量が大きく変動する「気まぐれな電源」です。

●晴れすぎ・風が強すぎ問題: 電気が余ってしまう(供給過剰)。周波数が乱れ、最悪の場合は大規模停電につながるため、せっかくのクリーンな電気を捨てなければならない(出力抑制)。

●曇り・無風問題: 電気が足りなくなる(供給不足)。

この電力の需給バランスの乱れを解消する切り札が蓄電所です。電気が余っている時に充電し、足りない時に放電することで、再エネの導入量を増やしながらも、電力の安定供給を維持できるのです。

第2章:蓄電所はどうやって儲けるのか?- ビジネスモデルの裏側

蓄電所は慈善事業ではありません。巨額の投資を回収し、利益を生み出すための精巧なビジネスモデルが存在します。その収益源は、主に「電力市場」での取引から得られます。
「安く買って高く売る」という単純なモデルを想像するかもしれませんが、現実はもっと複雑で、複数の市場で収益を上げる「マルチユース」が基本戦略となります。

収益源①:卸電力市場での価格差益(アービトラージ)

最も分かりやすい収益モデルです。電力の卸売市場(JEPX)では、電気の価格が30分ごとに変動します。電力需要が少ない深夜や、太陽光発電が豊富な昼間は価格が安くなる傾向があり、逆に夕方の需要ピーク時には高騰します。この価格差を利用し、「安い時に充電し、高い時に放電する」ことで利益を得ます。

収益源②:需給調整市場での「調整力」の提供

これが蓄電所ビジネスの核となる部分です。電力系統では、常に需要と供給をピッタリ一致させる必要があります(同時同量)。このバランスが崩れそうになった時、最終調整を行うのが「需給調整市場」です。
蓄電所は、指令を受けてから数秒〜数分という速さで充放電できるため、この「調整力」が非常に高く評価されます。電力系統の「守護神」として、いつでも出動できる態勢を維持していること自体が価値となり、待機しているだけでも対価(容量の対価)が得られ、実際に出動(放電)すればさらに追加の対価(電力量の対価)が得られます。

収益源③:容量市場での「将来の供給力」の提供

将来にわたって安定的に電気を供給できる能力(供給力)を確保するための市場が「容量市場」です。これは4年先の供給力を取引する市場で、発電所や蓄電所は「将来、これだけの供給能力を提供します」と約束することで、固定的な収益を得ることができます。事業の採算性を長期的に安定させる上で非常に重要な収益源です。
これらの市場で、蓄電所はAI(人工知能)を活用した高度な運用戦略を駆使します。数秒先の周波数変動から、数年先の容量市場まで、時間軸の異なる複数の市場を睨みながら、収益が最大化されるように充放電のタイミングを最適化しているのです。これはもはや、エネルギーと金融工学が融合したハイテクビジネスと言えるでしょう。

*長期脱炭素電源オークションとは?
さらに、脱炭素化を強力に後押しするため、容量市場の特別な仕組みとして「長期脱炭素電源オークション」が2023年より創設されました。
これは、太陽光・風力といった再エネ発電設備に蓄電池を併設した「再エネ+蓄電池」のセットや、水素・アンモニア発電といった新しい脱炭素電源を対象とした、特別なオークションです。
通常の容量市場が4年先の供給力を取引するのに対し、このオークションでは、最長20年間という超長期にわたって収益が保証されます。

収益源④:非化石価値取引市場での「環境価値」の売却

これら3つの電力市場に加え、もう一つの重要な収益源として「非化石価値取引市場」があります。
非化石価値とは?
太陽光や風力などの非化石電源から作られた電気には、CO2を排出しないという「環境的な価値」があります。この目に見えない価値を「証書」という形にして売買できるようにしたものが「非化石証書」です。
蓄電所はどのように関わるのか?
蓄電所は、再エネで発電された電気(非化石証書付きの電気)を充電し、それを放電することで、その電気の「環境価値」も一緒に取引することができます。
RE100(事業活動で消費するエネルギーを100%再エネで調達することを目標に掲げる企業連合)に加盟する企業など、環境価値を求める需要家は年々増加しており、この非化石証書の価格も新たな収益の柱として期待されています。

第3章:巨大プロジェクト始動- 蓄電所の事業開発、計画から運転まで

では、一つの蓄電所はどのようにして生まれるのでしょうか。その裏側には、数年がかりの大きな事業開発プロセスが存在します。
Step 1:企画・事業性評価(FS:Feasibility Study)
「どこに、どれくらいの規模の蓄電所を建てれば、最も儲かるのか?」を探る、プロジェクトの出発点です。
● 立地選定: 系統への接続しやすさ、土地の価格、災害リスクなどを総合的に評価します。特に、送電網に空き容量がある「系統の穴場」を見つけることが極めて重要です。
● 規模算定: 接続する系統の特性や、ターゲットとする電力市場の動向を分析し、最適な出力(kW)と容量(kWh)を決定します。
● 収益シミュレーション: 前述の複数の市場価格の将来予測を立て、数十年にわたる事業全体の収支を精緻にシミュレーションします。ここで事業の成否がほぼ決まると言っても過言ではありません。

Step 2:用地選定と系統接続検討

事業性が見込めると判断されれば、具体的な土地の確保と、電力会社への系統接続の申込みに進みます。
● 用地確保: 地権者との交渉や、開発に必要な各種調査(地盤、環境アセスメント等)を行います。
● 系統接続契約: 電力会社の送配電部門に接続検討を申し込みます。このプロセスは数ヶ月から1年以上かかることもあり、接続のために送電線を増強する必要がある場合は、数億円単位の追加コスト(工事費負担金)が発生することもあります。これが事業化の大きなハードルとなるケースも少なくありません。

Step 3:許認可・ファイナンス

プロジェクトを実現するための法的な手続きと、資金調達のフェーズです。
● 許認可: 消防法、建築基準法、電気事業法など、様々な法律に基づく許認可を取得します。
● 資金調達(ファイナンス): 蓄電所建設には規模にもよりますが、数億〜数百億円という莫大な資金が必要です。金融機関や投資家に対し、事業計画の魅力をプレゼンし、融資や出資を取り付けます(プロジェクトファイナンス)。投資家は、事業のリスクとリターンを厳しく評価します。

Step 4:EPC(設計・調達・建設)

資金調達の目処が立つと、いよいよ設計と建設が始まります。
● 設計 (Engineering): 蓄電池コンテナやパワーコンディショナ(PCS)、受変電設備などをどう配置するか、詳細な設計図を作成します。
● 調達 (Procurement): 世界中のメーカーから、性能や価格、納期を比較検討し、最適な蓄電池や関連機器を調達します。半導体不足や国際情勢が調達リスクになることもあります。
● 建設 (Construction): 設計図に基づき、土木工事、電気工事を進め、巨大な蓄電システムを組み上げていきます。

Step 5:O&M(運用・保守)と最適化

建設が完了し、運転を開始してからもビジネスは続きます。
● 運用 (Operation): 運用システムが24時間365日、電力市場を監視し、最適に充放電を繰り返します。
● 保守 (Maintenance): 蓄電池の性能が劣化しないよう、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。特に、電池の温度管理は寿命を左右する重要な要素です。
このように、一つの蓄電所が稼働するまでには、多様な専門知識を持つプレイヤー(デベロッパー、金融機関、メーカー、投資家、需要家、アグリゲーター、建設会社など)が関わり、複雑なプロセスを乗り越える必要があるのです。

まとめ:未来を創るエネルギーインフラへの投資

蓄電所は、再エネという「気まぐれな電気」を最大限に活かし、安定した電力システムを構築するためのキープレイヤーです。その裏側では、金融、IT、土木、電気といった様々な知見が結集した、ダイナミックな事業開発が繰り広げられています。
私たちが普段何気なく使っている電気。その安定供給の裏側で、こうした巨大なインフラが静かに、しかし力強く稼働し始めているのです。蓄電所への理解を深めることは、これからの日本のエネルギーの未来、そしてカーボンニュートラル社会の実現に向けた挑戦を、よりリアルに感じることにつながるはずです。それはもはや単なる「設備」ではなく、未来の社会を支えるための「投資」そのものなのです。

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